実の親なのに会えない?最近はやっている相続がらみの囲い込みとそれを放置しているデメリット3つ

金銭トラブル

最近、相続がらみの親の囲い込みトラブル目立ちます。具体的には、多額の財産を持っている老親を兄弟の1人が引き取り、そのまま老親の財産を使いこんだり、自分の都合よく遺言書をコントロールしたりするというものです。

老親の老後の問題は現役世代の子供たちにとっては頭の痛い問題です。それぞれ仕事もあるでしょうし、家庭もあります。嫁いだり、転勤したりで、実家の近くに住んでいないということもあるでしょう。そうなると、兄弟の誰かが面倒を見てくれたら、それに甘えてついついお任せしたくなってしまう気持ちも芽生えてしまいますよね。ですが、一度老親の囲い込みをされたら、後の相続問題などで大変なことになります。

ここでは相続がらみの囲い込みと、それを放置していることで起こるデメリットを3つ紹介していきます。

お金の所有者がはっきりしなくなる

老親が年老いて、介護が必要ということになれば、当然それにまつわるコストがかかります。老親がバリアフリー化を必要としていて、そのために老親の資産でリフォームするのなら特に問題はありません。

しかし、面倒を見ている兄弟が、老親の資産で自分の家の価値を上げるためにバリアフリー化するとなればどうでしょう。もしかすると、それはバリアフリーだけではなく自分たちの望むようなリフォームにお金を使っているのかもしれません。

ですが、それを証明するのはなかなか難しいことです。一緒に暮らしている家族は、ともに食事をしたり、生活をしたりしています。そうなると、個人のお金の境界線ははっきりしません。結果的に、お金の所有者がはっきりせず、面倒を見ている兄弟が使い込んでいてもわからないでしょう。

それでも、「老親の面倒を見てくれているのだから、多少の使い込みは多目に見てもいいだろう」と思うかもしれません。ですが、この状況を放置しておけば、今後、老親に更なる介護が必要になった場合、必要なお金が全くない、そのために施設に預けられないということにもなりかねません。

都合のいい遺言書が作られる

老親の囲い込みが行われる主な理由は財産目当てです。そのため、老親の財産は囲い込みを行った兄弟の都合のいいように遺言書が作られることになります。中には、相続をより有利に進めるため、囲い込みをした兄弟の子供が知らぬ間に老親の養子となっていることも。そうなれば、遺留分も大きく変わってきます。また、場合によっては、負債になる不動産をすべて背負わされ、その分の兄弟の遺留分を現金で納めるよう遺言される場合も。つまり、老親の囲い込みを行う兄弟は、他の兄弟からお金をむしり取ることも可能となります。そうなれば、公平な遺産相続は難しくなります。

囲い込みをするタイプの兄弟はそういうことを平気でするかもしれません。放置すればエスカレートして、あなたや他の兄弟の生活まで、脅かしてくるでしょう。

親なのに会わせてもらえない

老親を囲い込みする兄弟の多くは、他の兄弟を老親と合わせたくないと考えます。まずは、老親の生活状況をほかの兄弟に知られたくないと考えるケースが多いでしょう。知られると何かと干渉されるかもしれないからです。

また、他の兄弟が老親から財産の確約をもらったり、遺言を書いてもらったりなど、余計なことをされたくないということもあるでしょう。そのため、他の兄弟は、自分の実の親なのに会わせてもらえないということが起こります。親に対して、会えるうちにたくさん会っておきたいと思うのに、会わせてもらえないということになったら、これは憤慨してしまいますよね。

囲い込みする兄弟にとっては、大事な金づるかもしれませんが、他の兄弟にとっては大事な肉親です。肉親との大事な時間を阻害されるのは納得がいかないでしょう。ですが、囲い込みを放置して親に会わせてもらえなくなると、その可能性はどんどん減っていきます。会わせてもらうようにするためには裁判を起こさなくてはならなくなるでしょう。そうなってしまうと、敷居はぐんと高くなりそうですね。

老親が不幸な場合がある

兄弟が囲い込みをして、仮に財産をすべて取られたとしても、それで今がうまく回っていくのならいい、老親が幸せならそれでもいいと考える人も中にはいるでしょう。

ですが、囲い込みをする兄弟の下で暮らす老親は、幸せとはなかなかいいがたいでしょう。というのも、囲い込みをする兄弟の目当ては老親の財産であり、親子の情ではありません。介護は精神的にも肉体的にもしんどいものです。

情があっても破綻してしまう親子も数多くいます。そんな中で、情のない子が親の面倒を見ることはできるのでしょうか?真摯に老親の気持ちに寄りそうことは難しいのではないでしょうか?そうなると、老親は不幸になるかもしれません。

例えば、老親が旅行に行きたい、友達と会いたいと思っていても、なかなか外出させてもらえないということもあるかもしれません。また、老親が囲い込みをしている兄弟に財産を管理されている状況では、好きなものを食べさせてもらえない、買わせてもらえないなんてことも起こるでしょう。そういう状況を放置すれば、老親も不幸です。かわいそうなことになってしまいますね。

他の兄弟との間で深刻なトラブルになる

兄弟が多いとそれぞれの価値観も考え方も様々です。老親の面倒を見てくれるからといって、囲い込みをする兄弟を仕方がないと許せる人もいれば、許せない人もいるでしょう。

許せる人は財産が残らなくてもいいと思っているかもしれませんが、許せない人は財産は均等に分けられるべきと思っているかもしれません。そうなれば、一方は囲い込みをする兄弟を許してしまい、また一方は許せないと思い、兄弟間でヤキモキするということがあるかもしれません。そして、そんな状況を放置していれば、結果的に兄弟間に大きな亀裂が入ってしまい、二度と一緒に集うということができなくなってしまうこともあるでしょう。

もしかしたら一生恨まれるということにもなりかねません。また、放置することで、囲い込みをする兄弟がどんどんとエスカレートして、やりたい放題になってしまうことも。そうなれば、老親がまだ亡くなっていないのに、兄弟が話し合えないままになってしまいます。

結果的に不幸になるのは老親です。兄弟によって、お金に余裕がある家庭もあれば、そうでない家庭もあります。だから、兄弟全員のことを考えて、対処していく必要がありますね。

まとめ

子供の頃は仲良かった兄弟でも、大人になって、それぞれが家庭を持つと状況は変わってきます。その中で、価値観や考え方も大きく変化していくのでしょう。

だからこそ、公平に相続や介護も処理していくことがトラブルをなくすためにも必要です。老親の囲い込みをしている兄弟がいれば、これはもうすでに公平や平等の原則からは外れています。すぐに専門家に相談して処理してもらうことが、老親のためにも、他の兄弟のためにも幸せな解決法になるはずですよ。

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